Sunday 26 August 2012

真夏のビーチパーティー


オタワにやって来て初めての夏が、いつの間にか終わってしまったようです。

日本がお盆に入った8月11日。
オタワ市内から車で1時間半の場所にある、友人の別荘で行なわれたパーティーに行ってきました。林の中に一軒だけ建てられたこの別荘には、湖に向かってプライベートビーチがあります。

真夏のビーチパーティー。
どれだけテンション上がっていたか、想像できるでしょ?
林の中でキャンプをするためにテント、そして泳ぎまくるために水着を持参しました。2日間、飲んで、騒いで、泳いで過ごす予定でした。

到着してすぐに、水着に着替えてビーチに走りました。水に足を浸けてびっくり。氷のように冷たいのです。

それもそのはず。

8月のオタワの気温は15~25度前後。朝は、長袖のパーカーが必要なくらい寒いのです。日中に温められた水温も、夕方から翌朝にかけてすっかり冷たくなってしまうようです。それでもパーティーの参加者たちは、気持ちがいいなどと言いながら、水に浸かったり、泳いだりして楽しむのです。夏ですものね。

私はと言えば、水着を着けて、ビールを片手に、友人たちと屋外に設置された温水ジャグジーに浸かり、週末を過ごしました。「飲んで、騒いで、泳いで」が、「飲んで、しゃべって、入浴して」に変わってしまいました。これが今年の、オタワの「真夏のビーチパーティー」。

8月が最後の週を迎えます。
日没も早くなり、朝晩はすっかり冷え込むようになりました。ここは日本ではないのは分かっているけれど、どこか、灼熱の太陽と湿気を含んだ熱気の「夏」を期待していました。オタワの夏は、5月ごろからゆっくり静かにやってきて、8月には去ってしまうようです。

6月の湖のほうが、暖かかったなぁ。

Wednesday 22 August 2012

異文化を理解するということ


私が通う職業訓練校のシステムは、日本の職業安定所に似ています。雇用保険はもらえないけれど、就職をバックアップしてくれる就職カウンセラーがいます。利用者の状況に合わせて、仕事の見つけかたや履歴書の書きかた講習、プレゼンテーション方法伝授の講座など、さまざまな授業を紹介してくれます。

カナダで社会人デビューしたばかりの私に担当カウンセラーが紹介してくれたのは、就職後の異文化理解のためのワークショップ。

仕事を初めて一か月。すでにたくさんの疑問が生まれていました。

How are you? (元気?)と聞かれたら、I'm fine, thank you, and you?(元気よ。あなたは?)と応えるのは正しいこと?毎朝、同僚みんなに聞かれるけれど、同じ応えを繰り返すの?

社長をファーストネームで呼んでいるけれど、失礼ではないの?ちゃんと敬意を表わせているのかしら?

ワークショップのトレーナーは、こんな私の質問に、うれしそうに答えをくれました。


そう。完璧よ。I'm fine, thank you, and you?と毎日、みんなに応えて。あなたの状態なんて、実は誰も気にしていないんだから。みんな形式的に聞いているだけ。仲良くなるまではね。

月曜日には、週末はどうだった?なんて聞かれるかもしれない。あ、聞かれている?そのときはなんて応えているの?良かったわ、だけでは、物足りないわよ。だってこのときが、お近づきになるチャンスだもの。釣りに行ったとか、ケベック州に初めて行ったとか、そんなことを話してみるといいわよ。そこから会話が広がって、形式だけの朝の挨拶をする関係から、友達に発展するかもしれないじゃない!

あなたは日本から来たんだったわね。気持ちは分かるわ、上司を呼び捨てにするのが居心地が悪いんでしょ?でも実はね、ファーストネームで呼ぶのは敬意を表すひとつの方法なの。○○社長、とか○○さんなんて呼んでいては、逆に失礼なのよ。北米では、相手を理解するということが、敬意を表すということなの。相手を知っているからこそ、ファーストネームで呼んで、距離を縮めるわけ。

相手を理解することと、敬意を表すことについて、ちょっとしたエピソードがあるのよ。かつて私のワークショップに参加していた女性の話しをするね。彼女がボランティアとして会社に所属をしたときのこと。社内にコーヒーメーカーはあるのに、それが使われていないのを見た彼女は、まわりの人に聞きました。コーヒーメーカーが使われていないのには、なにか理由がありますか?って。誰も淹れようとしないから、これが理由。「じゃ、私が毎朝、コーヒーを淹れますよ」。彼女はよろこんで毎朝、コーヒーを作り始めました。

その後、社内でクリスマスパーティーをすることになったんだけれど、運営委員なんてめんどくさいから誰もやりたがらなかったそう。彼女また、「クリスマスパーティーは開催したことも、参加したこともないけれど、私お手伝いしますよ」と名乗りを上げたんですって。全身の肌を覆った、目だけ見えるイスラム教徒の女性がよ。

相手に歩み寄っていくことが、相手を理解すること、そして敬意を表すことなのよ。

もちろんこの女性は、すぐに正社員として雇われることになったわ。


「異文化」などと難しい言葉にしてしまうと分かりにくいけれど、相手に歩み寄って理解しようと努めれば、どんな場所でも上手くやっていけるような気がしています。

Sunday 19 August 2012

カナダの文化と言語


日本人は、箸を使って食事をします。
日本人は、風呂に浸かったり、温泉に入ったりします。
日本人は、ものごとに正確性や完成度の高さを求めます。

では、カナダ人はどうでしょう。

カナダの文化や慣習を述べることはとても難しいんです。なぜかというと、カナダ人はみな、どこか別の国から来た移民たちだからです。

カナダでは、多くの場合、文化は個性として捕らえられます。つまり、

ききは、箸を使って食事をします。
ききは、風呂に浸かったり、温泉に入ったりします。
ききは、ものごとに正確性や完成度の高さを求めます。

となるのです。

建国から約150年のカナダには、伝統や文化が多くありません。中南米やアフリカ、アジア、中東やヨーロッパ諸国から渡ってきた移民たちが持ち込んだ自国の伝統が、カナダで「個性」という名の「文化」となって、息づいています。

単一民族の国、日本に生まれ育った私には、この、「多民族/多文化国家」がなかなか理解できません。なにか嫌なことを経験するたびに、ついつい「カナダ(人)は!」と責めたくなるのです。

望めば、私だってカナダ国籍を持つカナダ人になれるのです。「カナダ人」は、「カナダ国籍を取得した移民」という意味になるのかもしれません。

言語だって同じことです。カナダ英語はどんな音なのでしょう。

日本でTOEICの勉強をしていたころ、リスニングテストに、それまでのアメリカ英語だけではなくカナダや豪州、英国の発音が導入されると聞き、恐れさえ感じました。カナダに来るまでは、カナダの英語はアメリカの英語に似ているのだろうと思っていました。

しかし、違うんです。

スペイン語を母国語とするカナダ人の中には、yetをジェットと発音する人もいます。フレンチカナディアンの中には、英語を話すときにフランス語同様にhを発音したいため、hate(嫌いです)をate(食べました)と言う人だっています。

これもまた、個性です。

そんな多民族/多文化国家のカナダでは、一か月続いたイスラム教の断食月・ラマダンがそろそろ終わろうとしています。