カナダ人が冬を楽しみにしている理由のひとつに、アイスホッケーの存在があります。アメリカの23チームとカナダの7チームが所属する北米ナショナル・ホッケー・リーグ(National Hockey League、NHL)は、毎年、10月から翌年の4月まで試合が行なわれます。アメリカの参加チームが多いのにカナダ人がホッケーに熱狂する理由は、NHLの選手の過半数をカナダ人がしめているからなのです。
ホッケーは、ゴールキーパーを含む6人のプレーヤーが、長い棒を使って、パックと呼ばれる厚さ2.5cmで直径7.6cmのゴム製のボールを、相手チームとつつき合うスポーツです。
長い棒を器用に左右に動かし、パックを氷の上で滑らせます。パックが相手チームのゴールに入れば、点が入ります。
単純なスポーツなのに、なぜ、カナダ人がこんなにも熱狂するのでしょう?
「よろい」に身を包んだ選手たちは最速で時速45km、平均で時速25〜30kmともいわれるスピードで氷の上を滑ります。敵同士がぶつかり合い、殴り合い、時には出血しながら戦います。相手に取られる前に打ったパックが飛びます。パックを取り合うときに折れたスティックが宙を舞います。パックを追いかけてものすごいスピードでリンクを滑り、そして一気に停まります。削り取られた氷が、選手の足下から飛び散ります。
なんともスピード感あふれる激しいスポーツなのです。
その激しさにも関わらず、NHLに所属するすべての選手たちは、スーツにネクタイ着用でリンクに「出勤」することが義務づけられています。これはホーム戦、アウェイ戦、どこに出向いても同じです。1994年にカナダ国技と位置づけられたホッケーの重みがここにあります。
なんとも紳士的※。
今年のシーズンは始まったばかり。
オタワには、Senators(セネターズ、通称センズ)というチームがあります。1992年に再度NHLに参加するまでは、オタワにはホッケーチームがありませんでした。そのためフランス系オタワ市民はモントリオールに籍を置くCanadiens(カナディアンズ)を、英国系オタワ市民はトロントに籍を置くMaple Leafs(メープルリーフス)を応援していました。
オタワにセネターズが戻って来たいまでもカナディアンズやメープルリーフスのファンは多く、ホッケーの試合がある夜は、大画面テレビを備えるオタワ市内のバーは歓喜に包まれるのです。
※NHLで戦う機会は女性にも開かれています。でも現実は、なかなか難しいよう。
参考:カナダ国技法とNHL公式ルール
2014年10月25日、テロ襲撃後、初めてのオタワでのホッケー試合 |
1ゲームは20分x3試合。20分の休憩の間、5cmの厚さのリンクの氷を、表面だけうっすらと溶かしてなめらかに戻します |
「よろい」姿の選手たち |
14年間キャプテンを務めたアルフレッドソンに変わって、今シーズンからセンズのキャプテンとなったエリック・カールソン |
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