Saturday, 28 July 2012

カナダの社会人と、日本の社会人


カナダと日本の就職活動の方法には、私が思っていたよりも類似点が多いことに気がつきました。

私が通う語学学校では授業の一環として、就職のための履歴書の書きかたや面接訓練があります。

就職活動は、どんな場合でも、誰にとってもストレスなもの。
まして、言葉や文化の違いを乗り越えて外国で就職をするのは、簡単なことではありません。

履歴書は書けても、面接となると萎縮してしまいます。
「あなた自身について、教えてください」と聞かれれば、自分のこれまでの経歴を簡潔に的確に言えていました。これが"Tell me about yourself."(あなた自身について、教えてください)となると、どんな応えを求められているのか分からず、考え込んでしまって声が出ないんです。

面接なくして就職先は決まりません。

面接がいよいよ恐怖になってきたころ、学校で模擬面接が行なわれました。
カナダに住んでいれば英語を話す機会は当然あります。しかし、面接を受ける機会は、書類選考を通過して、面接に呼ばれなければありません。そのため、カナダで企業の面接を受けたことがない生徒は多いのです。

本番と同じような雰囲気を味わうために、スーツに準ずる装いで参加するようにと、事前に通知を受けました。

9人の面接官役の人たちに、一対一で対面して実際の面接と同じように質問を受けます。面接官役みな、ある会社の人事部や部長クラスの人たちです。

面接官が待つ部屋のドアをノックします。「どうぞ」の声を聞いてから、ドアを開けて入ります。
面接官の前に進み出て、名前を述べて、握手のために右手を差し出します。面接のために時間を作ってくれたことへのお礼も伝えます。
勧められてから、椅子に座ります。

まずは自己紹介から。そして、質問に入ります。

面接官:上司や同僚とうまくいかなかったことはありますか?そのときの状況と、どのように解決をしたかを教えてください。
私:(こんな状況で、こんなことがありました。)私も相手も、お互いを責めたために、状況はさらに悪化しました。(そして、こんなふうに解決をしました。)

面接官:難しい顧客との接した機会はありますか?そのときの状況と、どのように解決をしたかを教えてください。
私:(こんな状況で、こんなことがありました。)賛成も異論も唱えず、相手の話しを辛抱強く聞きました。結果、客は言いたいことを言えたことに満足をして、去りました。

面接官:あなたが部長だったら、部下たちの仲間割れをどのように解決しますか。
私:え!私が部長ですか!?ちょっと待ってくださいね。考える時間を下さい。うーん、うーん。たぶん、部下にひとりずつ会い、話しを聞きます。みなそれぞれに言い分があると思いますから。その後、全体ミーティングを開いて、みんなで問題を解決すると思います。

面接官が、面接終了を伝え、いつごろ採用の結果が出るかを教えてくれます。立ち上がって握手を求め、面接に呼んでくれたことに再び感謝を述べて、良い結果が出ることを待っていると伝えます。

模擬面接が終わり、その場で各面接官から評価を受けます。
<良かった点>
姿勢とマナーが社会人らしいこと。適所に笑顔があり、親しみが持てること。社内で争いが起きたときに、相手だけを責めるのではなく、自分も争いの中にいるという自覚を持っていること。難しい顧客を相手にしたときに、相手をさらに怒らせることなく、問題を解決する能力があると、面接官に伝えられたこと。責任ある仕事を任されたときに、チームワークを尊重していく力があると、面接官に伝えられたこと。

<悪かった点>
握手をするときは、強く相手の手を握ること。大きな声ではきはきと話しをすること。

生徒の中には、ヒールの高すぎる靴や赤いマニュキュア、耳にぶら下がるピアス、匂いの強い香水は面接にふさわしくないと注意を受けた人もいました。

ほら、なんだか日本の企業の面接を受けているみたいでしょう?

間違った英語の言い回しや単語を使うことを自覚しているために、声も小さくなりがちです。握手など慣れていないので、力加減が分かりません。

それでも、日本で知らず知らずのうちに身につけた社会人としてのマナーや、問題解決のテクニック。カナダの社内人としての常識に、ぴったりと当てはまるようです。

あんなに苦痛だった面接ですが、今では、社会人として堂々と挑む自信がつきました。

模擬面接を受けるように、リラックスして面接に望むことが、成功の鍵のようです。

正しい握手のしかたについては、職業訓練校〜ビジネスマナー編で!

Sunday, 15 July 2012

インラインスケートをはじめました。


家の近所を歩いていると、インラインスケートで走り抜ける若者を見かけます。風を切ってさっそうと滑っていく姿は、なんとも壮快で美しいのです。

「インラインスケートは楽しそうね。機会があればやってみたいわ」

などと話す私。家主は行ったん姿を消し、戻って来たその手には新品のインラインスケートが握られていました。インラインスケートを始めようと買ったのだけれど、7年経った今でも使ったことはないのだとか。

やってみたいわ、と言ったものの、さて、滑れるかしら。

ようやく陽が落ちた22時。
初滑りの無様な姿は人には見せられないので、人がいないことを確かめて、挑戦してみることにしました。

7年間眠っていた新品インラインスケート。
足を入れてみると、心地よいフィット感があります。紐をしっかりと締めて、足首のベルトも締め上げます。膝と掌に保護具を着けます。ヘルメットは、転んだときに脱げないように、顎紐をキュッと締めます。

そろりと立ち上がってみると、あら、ローラーがアスファルトに吸い付くような安定感があります。
ゆっくりと右足を前に出します。次は左足。

気がついたら、滑れていました。

住宅街を抜けて、小学校の校庭(誰でも自由に入れます)から続いている2つの公園を過ぎて、大きな道路まで走ります。

あっという間に30分が経っていました。

止まるときは右足の踵部分に付いたブレーキを使うのが本当なのだけれど、うまく使えないので、徐行しながら止まります。ターンができないので、直角にしか進めません。

それでも、すっかりインラインスケートに夢中です。
週末の朝、暑くなる前に一滑りするのが日課になっています。

Thursday, 5 July 2012

カナダの夏の楽しみかた


「明日は朝6時半には家をでるからね」

私の仮住まいの家主は退職者で、毎朝9時ごろに起きて、のんびりと朝の時間を楽しんでいます。そんな彼女が早朝、出掛けると言うのです。どんな大切な用事があるのかと思ったら、「髪をもう少しブロンドに染めようと思って」と涼しい顔。

そうなんです。
オタワの夏の朝はとても早いんです。
スパーマーケットや病院は8時から開いていますし、会社は7時から営業を開始するところもあります。
家主が20年に渡って通い続ける美容院も、7時から開くのです。

カナダにはサマータイムがあります。
毎年、3月の第2日曜日から、11月の第1日曜日までは、時計の針を1時間進めます。

2012年7月5日、今日のトロントの日の出は5時42分、日の入は21時01分です(MSN情報)。東京は、日の出は4時53分、日の入は19時11分です。

ほら。時間を1時間進める理由が分かるでしょ。
日本の時間を1時間早めると、6時から20時までの陽のある時間に、生活ができるのです。

カナダだと、例えば、朝7時から働き始めれば、15時には仕事が終わります。
日の入までの時間は6時間。
陽が高い間に、町の中を流れるリドー川に沿ってジョギングやサイクリングが楽しめるのです。自宅に戻って、庭でBBQを楽しんだり、子どもたちと遊んだりできるんです。

冬には雪が降り続き、気温はマイナス40度にもなるオタワに住む人びと。
夏の間に太陽の光を存分に浴びるのです。長い冬がやってくれば、外に出ることも少なくなりますからね。
オタワ市内を流れるリドー川。奥に見える三角の屋根は、国会議事堂です。