Tuesday, 30 October 2012

ハローウィンがやってくる


アメリカ東部を襲ったハリケーン・サンディの影響を受けて、カナダ東部のオタワも、今日は強風でした。オタワは、ニューヨークから車で8時間ほどのところに位置しています。

風にバサバサ揺れるのは、紅葉も終わった落ち葉だけではありません。

明日に迫ったハローウィンに備えた家々のデコレーションが、それぞれの玄関口で、命を得た新しい生き物のように激しく踊っています。

10月31日はハローウィン。

調べてみると、本来は宗教的な意味を持つイベントのようですが、今日では仮装をしてお菓子を得る日に変わっています。

お菓子が大好きで、イベントごとが大好きなカナダ人たち。
子どもだけではなく、青年も、アダルトも、シニアも、みんなとっても楽しみにしています。クリスマスの次に、人気のあるイベントなのだとか。国民の休日でないことが不思議なくらい。

楽しみは、まず、家の玄関を飾ることから始まります。
立ち入り禁止のテープをドアに十字に貼付けたり、綿で空き家のホコリっぽさを表現したり、前庭にお墓を作ったり、魔除けのかかしを配置したり。もちろんカボチャも忘れません。

このデコレーション、実はお菓子を目当てにやってくる子どもたちへの「招待状」でもあるんです。では、お菓子を配りたくない人はどうするかと言うと、玄関は飾り付けせず、家の明かりを消して暗闇の中でじっと過ごすのだそう。子どもたちは17:00くらいから家々を訪問しはじめます。辺りが真っ暗になる19:00になると、中学生おばけたちが徘徊します。その間、じっと息をひそめて留守を装うのです。

そして次の楽しみは、お菓子選び。
甘いものが大好きなカナダ人たちの、得意な分野です。ひとつずつ小分けされた飴やチョコレートバー、グミやガムなどが、町に溢れ出します。子どもの安全のため、果物や手作りのお菓子など、生の食品はハローウィンでは配れません。

そしてもちろん、衣装選びです。
本当は、相手に恐怖を与える装いをするのだけれど、少々『きんちゃんの仮装大賞』のような人たちもいたり。

キャンディーを、カボチャ型のバケツに入れて、家主の家も準備完了です。さて、どんなお化けがやってくるかな?

私はと言えば、大きなカボチャで家主が作る、パンプキンチーズケーキが待ち遠しいのだけれど。あのカボチャ、食べられるんですって。

お菓子だって、怖さたっぷり

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Sunday, 28 October 2012

映画の中のカナダ


2012年10月22日。俳優のラッセル・ミーンズ氏の死亡が報じられました。

名前を聞いてもピンと来ないかたが多いと思いますが、映画『ラスト・オブ・モヒカン』でモヒカン族の酋長役を務めた男性と言うと、分かりやすいかもしれません。

このニュースを聞いた家主が、ひさしぶりに『ラスト・オブ・モヒカン』が見たくなったというので、一緒に鑑賞することにしました。

「この映画は、カナダの自然をとても美しく描いているのよ。」
と家主。何度か見たことがある映画だったのに、舞台はアメリカだと思っていました。

さて、どんな話しだったかな?

映画が始まって数分したころ、登場人物のイギリス兵がモヒカン族の村でスピーチをするシーンがありました。

「オタワのアベナキ族はフランス軍につき、我らイギリス軍に戦いを挑んでくる。」

あら、アベナキ族って言ったよね?

私の家主は、北米の先住民族のひとつであるアベナキ族の二世なんです。「オタワ」と「アベナキ族」という言葉を聞いて親しみが湧き、ストーリーにグッと引込まれてしまいました。

時代は1757年、北米の領地を巡って、フランス軍とイギリス軍が戦争をしたころ。

このころは、アメリカもカナダもまだ誕生してません。ざっくりと言えば、現在のアメリカあたりにイギリス人が、カナダのケベック州あたりにフランス人が暮らしていました。それぞれが領地拡大を狙って、戦争をすることになりました。周囲に住んでいた先住民族も、どちらかの軍について戦います。

映画が半分ほど進んだあたりで、フランス軍とイギリス軍が取引をします。フランス軍に降伏したイギリス軍が戦地・フォート ヘンリー(カナダのオンタリオ州キングストン市)を出る間、フランス軍は攻撃をしない、と。

その取引のシーンに映し出された旗に、また驚きました。フランス軍の旗には、現在のケベック州の州旗にもあるユリの花が描かれていました。フランス国旗でも、ケベックの州旗でもない、この旗。

ニューフランスの旗かしら?」
ニューフランスと言うのは、フランス人が現在のカナダのケベック州とオンタリオ州あたりに作った領地の名前です。

そして物語は、愛の物語に変わっていきます。

イギリス軍を率いる将軍とその娘たち、そして兵士たちが旅の途中に襲われ、娘たちが捕虜となり、フランス軍についた別の部族の村に連れていかれます。モヒカン族の兄弟とその父親(ラッセル・ミーンズ氏)が、彼女たちを助けに部族の村に乗り込みます。ここで部族の酋長に向かって、モヒカン族の兄が語りかけるのですが、英語を話す兄の言葉を、英語を理解しない酋長のためにフランス語に訳す声が聞こえます。

アベナキ族の二世である家主の母語は、フランス語です。かつてのニューフランスに居住した先住民族の中には、英語を話さない人たちも多かったのでしょう。

静寂でどこまでも平坦な森や、青々とした平野、壮大な滝。登場人物たちがカナダの自然の中を駆け巡ります。

この映画は、モヒカン族として育った白人男性とイギリス将軍の娘の恋を描いたフィクションです。しかし、カナダに暮らして間もない私にとっては、カナダの歴史を教えてくれる映画となりました。

カナダのバイリンガリズムについては、「バイリンガルの町、オタワ」で。

Friday, 12 October 2012

メープルリーフが色づくころ


オタワが気に入った理由の一つは、町に緑が溢れていること。
政府が設置した2,796.4 km2の緑地帯・グリーンベルトが、カナダの首都であるオタワの町を囲んでいるのです。

9月にもなるとすっかり肌寒くなるオタワ。
最低気温と最高気温の差は、10度以上にもなります。朝晩は0度前後、日中は15度前後の気温が毎日繰り返され、グリーンベルトの木々たちがいっせいに色づくのです。

深紅に黄金色、深緑に黄緑色、そしてオレンジ色。艶やかな色をした植物が、昇って来たばかりの太陽の光に照らされて、きらきら輝きます。町中にいるのに、まるで森の中にいるような静けささえ感じられます。異国での不便さや不安を、ほんのひと時だけ忘れさせてくれます。

早朝、グリーンベルト沿いに走るバスルートは、私のお気に入りの「旅」です。

秋もそろそろ終わりに近づき、雪がぱらつくようになりました。もう少しで、真夏のような暑さインディアンサマーが数日やってきて、そして、オタワは本格的な冬に入るようです。

グリーンベルト沿いの紅葉

オタワ市内のグリーンベルト配置図(ピンクの線が緑地帯。川の北側はケベック州です)